撤去できる?できない?壁の撤去リフォームの耐震性への影響について
リフォームで自分の理想の暮らしを実現するために「間取り変更」を希望される方は多いです。しかし、間取り変更する際に「この壁を撤去しても、耐震性能に影響は出ないのだろうか?」と気になる方もいます。実際に、壁を撤去しても問題ないのでしょうか?
結論から説明すると、壁を撤去すると耐震性に影響が出る場合と出ない場合があります。そのため、正しい知識を身につけた上でリフォーム工事を行いましょう。この記事では、撤去できる壁と撤去できない壁を、それぞれご紹介します。ぜひ、間取り変更を検討している方は、この記事を参考にしてください。
壁の撤去は耐震性に影響がある?
建築基準法では、耐震基準をクリアするために一定の割合で「筋交い」を使用するなどの決まりがあります。また、2×4工法の「耐力壁」は壁・床・天井の6面で外力を分散・吸収し、耐震性を保つ特性があるため、1面の耐力壁を撤去してしまうと耐震性に影響が出てしまいます。
その一方で、傷や汚れの防止目的やアクセント目的で作られる「腰壁」や「垂れ壁」は撤去しても問題ありません。
耐震性に影響が出る!リフォームで撤去できない壁
まずは、耐震性に影響が出る、リフォームで撤去できない壁をご紹介します。
1.筋交い壁
筋交いとは、在来工法の住宅において、柱と柱の間に斜めに入れる部材で、水平荷重(風や地震など、横からの力)に抵抗する役割があります。構造体の耐震性を高める効果があり、建築基準法では一定の割合で筋交いを入れることが義務付けられています。
筋交い壁を撤去すると、耐震性能に影響が出るため撤去できません。筋交いの位置は図面で確認できますので、リフォーム時には図面を見てください。ます。
2.耐力壁
2×4で建てられた家は、パネルの1枚1枚が耐力壁としての役割を果たしています。外力が6面に分散・吸収して、ねじれや変形を防ぐことができるのです。阪神・淡路大震災でも、2×4で建てられた家は倒壊がなかったと報道されていました。
しかし、2×4の耐力壁を撤去してしまうと、設計時に満たしていた耐震性能が低下する可能性が高まります。家全体の壁量が足りている場合は、耐力壁を撤去することができるケースもあります。
補足:耐力壁が分からない場合は専門家へ相談
筋交いは斜めに入った部材で図面に記載されていますが、耐力壁は判断が付きにくいことが多いです。
耐力壁を撤去すると耐震性に影響が出ることがあるため、自己判断は大変危険です。
そのため、少しでも不安を感じた場合は、自分で判断をせずに専門家に相談をするようにしましょう。
耐震性に影響なし!リフォームで撤去できる壁
次に、撤去しても耐震性に影響が出ないリフォームで撤去できる壁をご紹介します。
1.腰壁
腰壁とは、床から腰高程度の仕上げ壁のことをいいます。壁の汚れや傷を防止するために、耐久性の優れた素材で腰壁を作ったり、アクセント目的で腰壁を作ったりします。このような目的で腰壁は作られるため、リフォーム時に撤去しても、耐震性能に大きな影響は出ません。
2.垂れ壁
垂れ壁は、文字通りで、天井から垂れ下がっている壁をいいます。キッチンに垂れ壁が設置されることが多いですが「防煙壁」の役割があるからです。防煙壁とは、火災により発生する煙の拡散を防ぐ目的で設置されます。
また、建築基準法でも「火災により発生する煙の拡散を防ぎ、避難を容易にするための設備の一つ」と定義されています。しかし、キッチンに不燃材を採用していれば、垂れ壁は不要です。このような目的で設置される垂れ壁も耐震性能に影響を与えないため、リフォーム時に撤去しても問題ありません。
3.細い角材で作られている壁
壁の表面を壊してみなければ、内部を確認できませんが、内部が3cm×4cm程度の角材で作られている壁も撤去して問題ありません。柱を見た感じ、1本1本細い木材の場合は、撤去しても耐震強度が落ちることはありません。そのため、内部が角材で作られている壁をリフォーム時に撤去しても問題ありません。
まとめ
今回は、耐震性に影響が出る壁はどのようなものか、壁リフォームで撤去できない壁と撤去できる壁についてご紹介しました。中古物件を購入してリフォームする人も増えていますが「リフォームで自分の理想とする間取りを実現しようと思ったら、撤去できない壁だった…」というトラブルも多いです。このようなトラブルを回避するためにも、自分自身でも建築知識を学んでおきましょう。建築知識が増えれば、安心してリフォームに携われるでしょう。
また、少しでも不安を感じる方は、建物の構造に詳しい専門家に相談しましょう。専門家に相談しながらリフォームを進めてください。専門家に相談することで、更に安心感は増すはずです。ぜひ、この記事を参考に、自分の理想とする間取り変更を実現してください。