上がる?下がる?固定資産税に影響するリフォーム工事を大紹介
不動産所有者が頭を悩ませるのが、固定資産税の支払いです。毎年、支払わなければいけない税金となっています。この固定資産税は、建物や土地の固定資産評価額に応じて税額が計算されており、リフォーム工事で評価額が上がることもあるので注意しなければいけません。
「リフォームをして快適な住まいを実現できた…!」と喜んでいたら、翌年の固定資産税が上がっていて家計が苦しいと悲痛の声を上げる方もいます。このような状態に陥らないためにも、固定資産税とリフォームの関係について理解を深めていきましょう。
リフォーム工事は固定資産税に影響するのか
まずは、リフォーム工事が固定資産税に影響するのかについて解説します。
そもそも「固定資産税」とは
固定資産税とは、家や土地などの資産に対して課税される税金です。毎年1月1日時点での固有資産に対して、市区町村が税金を徴収しています。
固定資産税額は「固定資産評価額」を元に、以下の式で計算されます。
固定資産税額=固定資産評価額(課税標準額)×税率(1.4%)
※自治体が税率を自由に決められることになっていますが、1.4%を採用している自治体が多いです。
建築確認申請が必要な場合は固定資産税に影響する
基本的にリフォームを行っても、固定資産税が変わることはありません。建物は築年数に応じて経年劣化をしていくため、固定資産税評価額は下がり続けていくものなのです。そのため、水回り設備の不具合を補修したりなど、補修目的としたリフォームをしただけでは、固定資産税が上がることはありません。
しかし、建築確認申請が必要となる大規模な工事を行えば、固定資産税が上がることもあります。
リフォーム時期も固定資産税に影響する
固定資産税額は、固定資産評価額に税率をかけて計算されますが、この固定資産評価額は3年毎に見直しが行われます。そのため、評価額が見直されたばかりのタイミングでリフォームを行うと節税ができます。
まとまった金額の出費が気になる方は、リフォームの時期も考慮してみましょう。
固定資産税が上がるリフォーム
実際に、どのようなリフォームで建築確認申請が必要になるのでしょうか?ここでは、固定資産税が上がるリフォームをご紹介します。
壁・柱・梁などの主要構造部を変更する工事
主要構造部(壁・柱・床・梁・屋根・階段)で、家全体の半分以上をリフォームする場合は、大規模修繕に該当するため、建築確認申請が必要となります。大規模修繕は、家の機能性や安全性が高まると判断されるため、建物の価値が上がるのです。
増築工事
床面積を増やす増築工事を行う場合も建築確認申請が必要となります。メゾネット形式の住戸でも吹き抜け部に床を足すと増築に該当します。
また、床面積が増加する増築工事だけではなく、庇・屋外階段・塀などを新設し、床面積の増加が0㎡であっても、確認申請が必要です。増築工事をする場合は、不動産登記の変更も必要になるので注意してください。
用途変更を目的とした工事
リフォーム目的はさまざまです。居住用の住宅のリフォームをする人もいれば、相続した家を事務所として活用したいという方もいるでしょう。このように「住宅」から「事務所」に用途変更する場合も建物の価値が変わるので、固定資産税が上がる可能性があります。また、用途変更をする場合も、登記変更が必要です。
固定資産税が下がるリフォーム
建物は築年数が経過していくと経年劣化していくものなので、評価額は下がっていきます。そのため、建築確認申請を必要としないリフォーム工事であれば、固定資産税は基本的に下がっていくのです。そのため、建築確認申請を必要としないリフォーム工事についても把握しておきましょう。
耐震補強
本格的な耐震リフォームを行う場合は、梁・柱・基礎の着工が必要になるので、確認申請が必要になりますが、大規模な工事でなければ、建物の評価に影響は出ません。そのため、建物評価額にも影響しません。
主要構造部ではない箇所を変更する工事
主要構造部ではない、柱・床・階段のリフォームをする場合も、建築確認申請は必要ありません。しかし、主要構造部の柱であるかどうかは、一般の方では判断が難しいです。そのため、主要構造部ではない箇所を変更する場合は、必ず建築士に確認してください。
間取り変更を伴わない内装工事
外壁塗装や壁紙の張り替え、備え付け家具の造作、水回りの設備交換工事をする場合は、確認申請は必要ありません。間取り変更を伴わない内装工事は、建築確認申請は不要と覚えておくと覚えやすいでしょう。
固定資産税の減額ができるリフォーム
住宅の高い品質を維持する目的で、「耐震リフォーム」「バリアフリーリフォーム」「省エネリフォーム」のどれかの工事をすれば、固定資産税が下がる減税制度も用意されています。ここでは、固定資産税の減額ができるリフォーム工事について解説します。
耐震リフォーム
耐震リフォームを行った場合は、翌年の固定資産税額が1/2に減額されます。この減額制度を適用できる条件が2つ定められています。
1つ目が、工事費用が50万円以上であることです。2つ目が昭和57年1月1日以前から所在する住宅を現行の耐震基準に適合する耐震リフォームを行うことです。この2つの条件に該当すれば、減税制度が適用できます。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームを行った場合は、翌年の固定資産税額が1/3に減額されます。この減額制度を適用するためには条件が定められており、居住用住宅で工事費用50万円以上であることが適用条件となっています。
省エネ化リフォーム
省エネ化リフォームを行った場合も翌年の固定資産税額が1/3に減額されます。この減額制度を適用するためにも条件が定められており、居住用住宅で工事費用50万円以上であることが適用条件となっています。
まとめ
今回は、リフォームと固定資産税の関係について分かりやすく解説しました。リフォームをすることで、建物の価値が上がれば高い税金を納めなければいけなくなるので注意が必要です。
また、申請期間が定められていますが、減税制度なども用意されています。そのため、このような固定資産税に関しても考慮して提案してくれて信頼できる工務店や建設会社であるかも、良く見極めて依頼先を決めるようにしてみてください。