かぶとカーブで良い木を!
こんにちは。
今日の担当は石田です。
入社して2か月が経ちました。
先日「ほたる祭り」が湯郷の温泉街でありまして
もうひとりの新入社員キノシタさん(彼女も広島の大学からやってきました。出身は米子です)と
「祭りといえば浴衣じゃろー^^」と浴衣を着て意気揚々と出かけたのですが、
浴衣姿はわたしたち二人と小学生の女の子数人だけでした。(笑)
ちなみに蛍はたくさん見られましたよ^^
広島市のあまり自然のないところで育ってきて、生まれてから今まで1匹しか見たことなかったので大興奮!
一生分の蛍を見たような気がします・・・!
15日くらいまで見られるようですね。
蛍と星で、空も地面もぴかぴかしている今の時期。
ますますこの地が好きになってきています。
さて、
まもなく上棟となるK様邸は、とっても趣のある純和風のお宅になるご予定。
和風の家には国産の良い木を使うべし!ということで、先日
玄関に使う松の木を選定するため、
中国地方でもナンバーワンの地松専門の製材屋、
「鈴鹿製材所」さんへ行ってきました。
玄関は、お家の顔となる重要な場所・・・
木選びにもかなり!熱が入ります。
この日は1時間かけて4本の松を選定しました。
松は、ヒノキやスギよりも経年変化の大きい樹種のため、
乾燥や切り出しには大変な手間と時間がかかるそう。
われやねじれ、ヤニの処理にも細かく気を配る必要があります。
15.5cmあるこの松も、実際に使うのは12cm。
大きめの状態でしっかり乾燥させてから必要な大きさにカットします。
一見もったいないと思うかも知れませんが、それも建物が建った後の木の動きを少なくするためのワザ。
「地松を使う以上、割れんようにするのはほぼ不可能。
製材屋さんは手をかけてそれを最小限にするよう頑張ってくれる。
それをお施主さんに納得して使ってもらうのが、ボクたち建築屋の仕事なんよ。
価値のあるものをお施主さんの代わりにこうして選んで、納得して使ってもらうことが大事じゃで」
と社長。
これから何十年も家とともに暮らしていくにあたって、
木の変化が味となるような木を選んでいかねばなりません。
でも、良い木っていったいどういう木のこと?
きれいなもの?大きいもの?
はてなが飛び交うわたしにスズカさんや社長がいろいろと教えてくださったので、
良い木選びのポイント、少しお伝えしたいと思います。
良い木選びその① 「うしろ姿を要チェック!」
木には、表と裏があるんです。
木の中心に近いほうを木裏、表面に近い側を木裏といいます。
今回は木表は外に見える側に、木裏を室内側になるように使います。
ということで木表の美しさはもちろん絶対条件!
なのですが・・・
表だけではいけません。木裏の美しさこそが真の良い木を見極めるポイントなんです ^^
木裏は外から見えるものではありませんが、家の中から見たときにも美しいほうが良いと思いませんか?
社長いわく、「うしろ姿もきれいな人こそが、真の美人である。木も同じ!」・・・だそうです(笑)
ということで
しっかりと、木裏もチェックします。
節が少ないかどうかはもちろんのこと、
赤みがあるかも要チェックです。
松の赤みは油を含んでいる証拠。油気が無いと、白っぽくなるんです。
赤みは年を重ねないと出ないため、油気の多い松は良い木といわれています。
良い木選びその② 「かぶを要チェック!」
突然ですが、少し頭をやわらかくして
まだどこかの森の中に立っている姿を想像してみてください。
そのとき、地面に接している側を「かぶ」といいます。
この写真でいうと、下側。木の幹が太くなっているほうが「かぶ」とされます。
木目の流れでも分かるそうなんですが、私の目には上も下も同じに見えます・・・(悔しい!)
「かぶ」は家を建てるとき、建物の端に来るように組むのが昔からの決まりごとだそう。
建物は角に応力が掛かるので、太くて丈夫な「かぶ」を角側に向けるのですね。
「かぶ」の年輪がしっかりつまっているかを見たり、
どういう向きで使うかを考えながら選んだりするのも重要なポイントだそうです。
ちなみに、
これくらいが60年かけてできる年輪。
この木は樹齢数百年のおじいちゃん地松なんですね。
良い木選びその③ 「カーブを要チェック!」
次は、「かぶ」ではなく「カーブ」です。(ダジャレのようになってしまいました・・・)^^;
木はまっすぐ立っているように見えますが、
切ってみると、杢(木目の紋様)がまっすぐではないことが分かります。
この写真の松、カーブしているのが分かりますか?
上に向かって真ん中がむくっているようです。
そう言われると、なんとなくアーチ状になっているような・・・
わたしも、言われてようやく気がつきました。(まだまだ木ソムリエには程遠いですね、精進せねば!)
家に使うときは、このむくっているほうを上に向けて木を組みます。
過重が掛かったときに強いからという理由だそうです。
確かに、ヨーロッパなどで見られるアーチ橋も、上部にむくって強度を得ています。
石でも木でも、理屈は同じなんですね。
構造計算などまだない時代から昔の人たちはこうした勘のようなものを働かせて
丈夫な家を建ててきたんだなー、と少し感慨深い気持ちになりました。
余談になりますが、
木と木をどこでどう接(つ)ぐかというのも、家の強度にかかわる非常に大切なことです。
現在は構造計算をして梁のモーメントが小さい、せん断力の掛かりにくいところで接ぐのですが
大工さんが言う、接ぐべき場所がこれとぴったりと一致するそうなんです。
さて、
良い木選びのポイント、いかがでしたか?
「木が立っていた頃の姿を想像して家に入れ込む。なるべく自然に近い状態ではめ込んでいかにゃいけん」
と社長。松は誰かが植えたものではなく、自然に生えた木です。
それが何百年という時間を重ねて、こんなに年輪の詰まった木になりました。
それだけの木を使えることと、お施主様に「ぜひ使いましょう」と言っていただけたことに、
感謝と責任を持ちながら、これから完成へ向けて頑張っていきたいと思います。
K様、どうぞよろしくお願いいたします!
今日のブログ担当は石田でした^^